ストレスが原因で発症する代表的な病気がうつ病です。WHOの調査によると、20歳以上の日本人の約13人に1人の割合で生涯の内に1度はうつ病を経験すると言われており、うつ病は誰もがかかる可能性のある病気であることが分かります。しかし、日本では欧米に比べ、うつ病の社会的理解が不足していることもあり、全体の4人に1人しか医師による治療を受けていません。うつ病は、適切な治療をきちんと受ければ回復できる病気です。その為には、周囲の人々や患者さまご自身が病気のことを正しく理解する必要があります。
うつ病は、「気分が滅入る」、「やる気がおきない」といった、通常は原因を解消すれば治まる症状が1~2週間続き、気分の落ち込みとともに「外出がおっくう」、「仕事ができない」と感じるようになります。また、うつ病は「こころ」の症状の他に、不眠症状や疲労・倦怠感、食欲低下、頭痛、体の痛みやしびれといった「からだ」にも症状が現れるようになります。まずは、うつ病の「こころ」と「からだ」のサインに早く気付いてあげましょう。
うつ病はまじめで几帳面な人がかかりやすいと言われておりますが、うつ病にも様々なタイプがあり、その人の考え方や環境、日々のストレスなど、様々な要素が複雑に絡み合って引き起こされます。なかでも別れや病気などの苦しい出来事や転勤や結婚などの明るい人生の転機であっても、それが急激な環境の変化によって過度のストレスになりうつ病の原因となることもあります。
うつ病の治療には、治療の進行度によって「急性期」、「回復期」、「再発予防期」という時期があり、それぞれの時期によって治療法や注意することが変わっていきます。
急性期は薬を飲みながら、うつ病の症状を取り除いていく期間です。うつ病の診断されると、少量の抗うつ剤による治療を開始し、患者さまの状態に合わせて種類や量を調整していきます。効果が現れ始めるまで4~6週間ほど観察が必要とされていますので、医師の指示に従って、焦らずゆっくり治療を行います。
回復期は社会復帰に向けて、元の生活のペースを取り戻していく期間です。薬の効果で調子の良い日が続くこともあり、患者さま自身で判断して無理をしたり、薬を止めてしまって、かえって症状が悪化する場合があります。うつ病は再発・慢性化しやすいため、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。
回復期を過ぎ、症状が安定しても油断はせず、再発防止のため、服薬等の治療は半年から1年程度継続して行う必要があります(維持療法)。また、万が一再発した場合に備え、家族や周囲の人に調子が悪くなった際にどんな症状がでたかしっかりと話し合っておく必要があります。
ご本人またはご家族に問診票を記入していただきます。
面接や身体診察にて症状の確認をします。
必要に応じて、画像検査、血液検査、心理検査を行います。
診察、検査結果をもとに診断を確定します。
ご本人に応じた適切な治療を開始し、ストレスに対する対処法などを一緒に考えていきます。